遠慮せずに言ってくれ～

鯵を貰った～若い彼が真っ赤に日焼けしてまでして釣り上げて来た鯵である。 こんなに沢山嬉しい～夕飯前だ早速鯵の叩きにすると言う～其れはいい奥さんの大好物である。デカいのと小さいのは塩焼きにする、中間を三枚に捌くと言う、デカいのはデカ過ぎて一人では食い切れんと～俺は残念ながら生ものは食えない、美味そうだな～今まで生きていたのだスーパーのと違って身が終ってピチピチしている。俺にはグリルで塩焼きに～出刃を取り出し調理に取り掛かった「あ～切った」と～「如何した？」「指をきった、血止めしないと雑菌が入る」「俺がやるよ」捌くのは大好きなのだ～出刃を見ると、此れじゃ～指を切るのも無理ない、切れなくなっている、切れない刃物は危ないのだ「御免よ」「研いであげなくて」「遠慮せずに言ってくれよ～」「大丈夫か？」「まだ血が噴き出しているから～心臓まで腕をあげて血止めしているからそのうちに止まる」「そうなんだよな先生が感心していたもんな応急処置が完璧だってさ～」「だってお父さんが怪我ばかりして帰って来ていたから慣れてる」「包丁は慣れているけど指はたまに切るね、歳を取ったから疲れた時はガスは使わない事にしてる、そんなに丁寧に鯵の叩きにしなくていいよ、適当で」と～俺はトコトンやらねば気が済まぬから～適当など出来ぬ「一杯やっていてくれ」「後は私がやるからいいよ、血が止まったから」「病院へ行かなくてもいいか？」「菜園はチョイと無理ね、雑菌が入ると化膿するから」と～ま～いい俺が準備をしておくからいいさ～